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​研究方針と研究概要

​私は,データから知識を発見する事を目的とする計算機科学の手法,いわゆる機械学習やデータマイングの研究を推進してきました.特に情報科学以外の分野への応用を重視した実践的な研究を心がけてきました.そして,応用を通じて得られた各分野に特化した技法を,一般的な手法へと還元するサイクルを回す事によって,情報科学と他分野の両方に貢献する事を研究の理念としています.

​研究論文紹介

​手法と応用のサイクル

ベイジアンネットワーク

ベイジアンネットワークは,因果関係を推定する機械学習手法です.これを題材に研究内容の説明及び,研究の理念を具体的に説明します.

手法の応用

私は2003年よりベイジアンネットワークを生物学に応用する研究を続けてきました.

その1つが,生物の細胞内に存在する因果関係ネットワークの一つである遺伝子制御ネットワークを推定する研究です.生物学的な意義は脂肪細胞の発生機序を知る事,医学的な意義は肥満症を治療する新しい方法の発見を目的としています.

手法への還元

​応用研究を行うことで以下のような情報科学的な問題が見えてきました.

  1. 推定問題がクラスNPに属する大規模問題

  2. 不完全な既知情報のモデルへの取り込み方

  3. 確率変数の数に比べて観測点数が寡少

  4. 観測されてない因子の影響

これらに対して​次のようなアイデアに基づく手法研究を行ってきました.

  1. Divide & Reconstructionに基づく近似解法の提案(概念図あり)

  2. 既知情報のモデルへの逐次投入による推定結果の漸次拡大

  3. 情報量基準と検定を融合した解析

  4. 入力データに対する検定手法の一つであるLeave-One-Out法の応用

新手法の応用

提案した手法を生物学,その他のデータに応用する事により,手法と応用との間のサイクルを回します.

例えば,​脂肪細胞の分化解析,大腸菌の栄養源変化解析,マウスの発生解析,双子解析,がん原因遺伝子解析を実施しています.

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